痛み止めを緊急で使う話(頭頸部領域)

鎮痛剤(解熱消炎鎮痛剤)・大人編

ここでの痛みは、耳鼻科領域(頭頸部領域と呼ばれる)首から上の症状が中心です。
(※おなかの痛みは当てはまりませんので注意!)

緊急的に熱が出た、痛んだ時などで、すぐ病院に行けず、やむを得ず解熱鎮痛剤を使用する場合、を書いてみました。
頭痛、咽痛、耳痛、歯痛、発熱などが主でしょうか。

持病などでいろんな薬を飲んでいる方も多いと思います。
いずれにしても服用量や、回数は最小限にしたいものです。

大人の女性(男性)で、鎮痛薬を使い慣れている人は、まず手持ちの、飲み慣れた薬(痛み止め)を服用してみてください。
服薬は使用条件(箱、取説)に表示されたように、数時間(5~6hr)毎を目安にするとよいでしょう。
たとえば「一日3回、6時間ごと」の指定がある場合ですが、痛みが激しいときは、3回×6時間=18時間で、真夜中などに6時間余ってしまいますので、この間は薬が切れてしまう可能性があります。
この時に、どうしても辛いときはもう一回の服用は可能だと考えます。トータル4回×6時間=24時間でカバーですね。
服用の際に、一緒に牛乳や何か軽くおなかに入れておくと、身体(胃)に優しいでしょう。
これ以上の増量はお勧めしません。胃腸が心配です。

鎮痛薬が手元にない場合は、購入することになりますが、何を選んでいいかわからないときの推奨は『アセトアミノフェンの単剤』です。
薬局で、『単剤』を強調して頼んでください。

ちなみに、市販のアセトアミノフェン表記のクスリの多くはなぜか「合剤」で市販されており、”ACE処方”と呼ばれます。
(※(A)セトアミノフェン+(C)フェイン+(E)テンザミドの頭文字をとっています。)
正直、合剤なのか、単剤なのかが、ワザと?と思えるほど紛らわしい表記なことがあります。
合剤ももちろん良い薬ですが、服用経験の少ない方は、緊急時はシンプルに「アセトアミノフェン単独」で行くが良いと思います。

薬局で色々勧められ、悩んだら「アセトアミノフェン”だけ”の、ください

薬品名は「タイレノール」が代表です。
剤型がやや大きく、そのままの服用が無理な場合は、噛みくだいても可です。おいしくありませんが。

アセトアミノフェンは、成人ですと、一回量は300㎎~600㎎(タイレノール1~2錠)、4~6時間ごとの服用が可能です。
肝障害のような重い合併症のない人は一回1000㎎未満、一日量が4000㎎まで(癌の痛みの患者さんですが)増量可能と、許容域が広いのが安心です。

通常の炎症ならば、日本人の推奨は、大人:一回400㎎、一日5回まで(一日2000㎎)位を目安にしませんか?

但し、下記の「痛いときの心理」に注意です!

それから…

鎮痛剤など服用して、その後病院にかかるときは、飲んでた薬を必ず持参してください

「これこれこんな種類を、何回飲みました」と教えてもらえると、症状のヒドさが良く伝わると思います。

痛いときの心理

「痛みが有る時の精神状態」は、当然、「普通の時」とは異なります。

わざわざ取り上げる理由は、”痛いときには、すこし我慢してね!”というのが相当難しいことが多いからです。

      『素敵な女性と過ごす時間は長くてもあっという間に感じますが、
               焼けた鉄板の上で過ごす時間はたとえ一分でもとても長く感じます。
                            これを『相対性理論』と言います。』 
                                     ~アルバート・アインシュタイン~

『相対性理論』というのはもちろんアインシュタイン流のジョークですが、人間の心理を鋭く表現しています。

痛くないときにはあっという間に経つ時間は、痛みが有るときには、いつまでも過ぎず、まだ、5分、まだ10分。
気は焦っても、いつになっても、夜は明けない。

痛み止めはさっき飲んだが、時間は経たず、痛みは取れず、明日は仕事!もう待てない!!

薬箱をひっくり返して、いつの処方かわからない、時には、痛みどめか、何のクスリかも分からないモノ、さえ飲みたい!
飲みたい!だけじゃなくて、ホントに飲んでしまう。
それも、気づいたら、かなりの回数…。

こんなことが、時に起こりがちです。

子供さんは、自分ではクスリ箱をひっくり返しては探しませんが、大人の方は、やってしまいがちです。

…で、心配なのは、過量の摂取、飲みすぎですね。

日本では幸い少ないのですが、欧米では、少ないはずのアセトアミノフェンの急性中毒による肝障害のための死者がかなりの数です。
死者?と思いますが、単純に、飲みすぎで肝臓がパンクして死に至るのです。結構怖いです。

そこで、注意喚起されているのが、上記の一日量「4000mg」上限量です。
但し繰り返しますが、これは痛みに苦しむ『癌』の患者さんの最大量の目安です。

通常の患者さんは、種々の理由で、大人:一回400㎎、一日で5回程度を上限(トータル2000㎎位)と考えてください。

昨今、日本人も”欧米化”に伴い、いわゆる”メタボ”な「高脂血症」の人が3000万人を突破しました。
これらの方々の多くは、肝臓に潜在性の障害を持っていることが多くあります。

消炎鎮痛剤以前に、別の疾患で様々な内服治療を受けている人も多く、知らず知らずに、肝臓がダメージを受けている事が”非常に”多いのです。

肝臓は『沈黙の臓器』と呼ばれ、検査で異常が出たときには、すでのかなりの状況の事が普通です。

あくまで鎮痛剤は少なめ少なめが文字通り“肝(キモ)”です。

解熱鎮痛剤・子供編;アセトアミノフェン

子供さんの解熱、鎮痛剤は「アセトアミノフェン・単剤」に尽きます。
他の成分を含んだ鎮痛剤は避けるが賢明です。

病院のクスリでは、アンヒバ、カロナール、コカール などの名称がなじみ深いでしょうか。
坐薬も有ります。

市販薬は「小児用バファリン」が代表です。
チュアブル錠(水無し服用剤)もあって便利です。

熱発時の服用は38.5度位を目安にする場合が多いのですが、子供さんの体調・きつがりかたで判断することが大事でしょう。
きつがる、ぐたっとしている、目がとろんとしているなどの時は、早めの投薬になるでしょう。
逆に、やけに元気な38度台は経過を見ることもあっていいと思います。

アセトアミノフェンは、不必要に熱を下げ過ぎることがないので、小児には使いやすい薬です。
特に幼児は、痛みをうまく訴えることが出来ないのでタイミングが難しいですが、痛みに対しては早めの投与で良いかと思います。

効果の発現は圧倒的に坐薬が早いです(15分くらいから)。
内服は、45分から1時間程度かかるので、結構(親にも)つらい我慢の時間かもしれません。

投与量は体重×10mgを目安にすると分かりやすいでしょう、この前後の量を4~6時間おきというのがひとつの目安と思います。

体重10㎏×10=100㎎
「小児用バファリン」なら、一錠33㎎なので、3錠ですね。

「大人編」と同じく…

後日病院にかかる際には、飲んだ、使った熱さましの申告もお願いします。

…おまけ

『子供編』としたのは、「小児」の定義が一応15歳までになっているからです。

”小児科は15歳まで”という、不文律のようなものが有りますが、このような運用は柔軟になされるべきなので、どっち?という”中間域”の年齢の方は、”かかりつけの先生”に相談して指示を仰ぐと良いでしょう。

大人の方でも、昔なじみの「小児科の先生」が、「かかりつけ医」だという人は結構多いです。

何歳になっても、昔のなじみの先生が見てくれるのは、安心で時に心強いものと思います。

鎮痛剤・大人編(番外)薬との相性

緊急ではなく、外来での一般的な鎮痛剤処方での話でしょうか…

巷に非常にたくさんの、解熱消炎鎮痛剤が有ります。

頭頚部領域で比較的オールマイティーなのは、「ロキソニン」です。
OTC(ロキソニンS)として、薬局でも販売されていますが、納得の効果と思います。

少し医学的でないかもしれませんが、薬と患者さんとは相性があります。

その方に合った、よく効くなあ、と感じられる、好きな鎮痛剤が有ることが多いです。

その効果は単なる成分の強さとは無関係なことがあります。

その人によってバファリン(アスピリン)が好き、私はイブ(イブプロフェン)が好き、昔ながらのボルタレンが一番と、それぞれの”好み”が確かにあります。

もちろん、コレは絶対ダメ、胃が辛い、痒くなる、ジンマシン、気分不良!etcという、”天敵”もあるので、逆の意味で注意は絶対必要です。

アレルギー体質、喘息体質の方は、消炎剤、鎮痛剤は絶対に合わない薬が有ることが珍しくありませんので、注意してください。

特にアレルギーの頻度や程度で注意が必要なのは「アスピリン」と「ピリン系」です。
それぞれ、大人用の『バファリン』と『セデス』の主要な成分です。

両方とも古くからの古典的な鎮痛剤で、ファンも多く、確かにいい薬ですが、時にひどい副作用を出現させることがあります。

消炎鎮痛剤の副作用

訴えの数が多いのは胃腸症状ですね。

個人差が大きいですが、概して、なぜか日本人の胃腸は消炎鎮痛剤に弱い傾向があります。

アセトアミノフェンは一番胃腸症状が少ないです。

子供さんの場合は副作用が少し複雑ですが、幼少期は「アセトアミノフェン」単剤、一本槍、が安心で正解と思います。
大人の使う、一般的な消炎鎮痛剤を量を減らして使うようなことは、子供の体温を下げ過ぎたり、肝臓に過度の負担をかけることになりますので、止めた方が良いです。

また、前述のように「アセトアミノフェン・主剤」と言われる合剤が沢山有ります。
確かにアセトアミノフェンがメインなのですが、多くは『ACE処方』と呼ばれ、他の薬剤との合剤です。
「アセトアミノフェン」を強調していますが、我々も間違いかねないほど、紛らわしい表記が多いです。
「ACE」処方の薬は子供さんは出来れば避けるほうが安心と思います。

服用に慣れた方以外は単剤に比べ、胃腸症状などに注意が必要でもあります。

消炎鎮痛剤で…
※一番怖い副作用は、ショック症状です。

頻度は少ないのですが、特にアスピリンの使用で発症すると重篤です。
もちろんアスピリン以外の消炎鎮痛剤でも起こることがあります。
特に注意が必要な方は、元々喘息体質で、以前にも消炎鎮痛剤で、副作用の症状をきたした事のある方です。

最悪は致死的になりますので、厳重な注意が必要です。

…おまけ

有名なお薬”バファリンに”はたくさんの商品が有ります。主なものは…

●「バファリン」     ;アセチルサリチル酸(アスピリン)
●「バファリンプレミアム」;イブプロフェン+アセトアミノフェン
●「小児用バファリン」  ;アセトアミノフェン

困ったことに全部主成分が違います。
名前が『一見同じ』だから、親のを子供に半分飲ませちまえ…は止めたが良い理由がこの辺にもあります。

子供に安心して飲ませていいのは、「小児用バファリン」(アセトアミノフェン単剤)だけです。

商標として有名だから、会社が使いたくなる気持ちは分かるのですが、院長(医者)としては、全然違う薬に同じ名前!?としか認識できないので、わざわざ、間違わせるため?危ないじゃないか!としか思わんのですが…。

アスピリンは『ピリン系』ではありません。

ご存知の方は多いと思いますが念のため…

アスピリンはピリン系の薬剤では有りません。

「ピリン系」とは、主にピラゾロン系と呼ばれる骨格を持った薬剤の総称として用いられます。

名前の最後に「…ピリン」がつくので、勘違いしてしまうのです
ピリン系とアスピリンは構造が異なり、違う系統の薬剤です。

『ピリン系』はメチロン(注)、SG顆粒(セデスGのジェネリック)が代表薬剤です。

含まれるピリン系の成分は


  • アンチピリン
  • アミノピリン
  • イソプロピルアンチピリン
  • フェニルブタゾン 等が代表です。

”本物”の『ピリン禁忌』『ピリンがダメ』な方は、アスピリン、ロキソニン、ボルタレン、ポンタールなど、まとめて「NSAIDs」と呼びますが、これらの薬は、問題ないはずです。
患者さん自身も、正確に把握してない場合があります。

痛み止イコールピリン系⇒”あぶない”目にあったら、自分は”ピリンがあぶない”と思い込んでしまうという構図はありそうです。

無理もありません、ネットで得られる情報でも、結構”えっ?”と誤解しそうな記述が相当あります。
あふれる情報の中から、自分に必要な正しい情報のみを選び出すのは現代では至難の業と思えます。

もしかしたら医者サイドでも、正確に「ピリン禁忌」を説明できる人はそれほど多くないのかもしれません。

厄介なことに、ピリン系ではない、上記のNSAIDsと呼ばれる鎮痛剤にもそこそこの似た副作用が有るものですから、話が更に複雑になります。

『ピリン系』の薬剤を含む市販薬はそれほど多くないのですが、古くから残っている薬は、良く効く薬である、という傾向があります。
そして、良く効く薬は副作用にも注意が必要というのも、一面の真実です。

ピラゾロン系「ピリン系」の薬もその傾向が有り、副作用はやや多くとも、確かな”ファン”は多くいます。

…おまけ

本家「セデス」のバリエーションです。

  • セデスファースト;ACE処方
  • 新セデス錠   ;ACE処方
  • セデスハイ   ;ピリン系含有
  • セデスハイG  ;ピリン系含有
  • セデスV    ;ACE処方

ここでも、似た名前に、違う含有成分、違う名前に、似た成分、まあ消費者も間違えるのも無理ないよね…。

Googlej四番に

www を検索 tateishi-ent-cl.com を検索

対応疾患

診療時間日祝
9:00~12:30


14:30~18:00







■・・・16:00~19:30 まで
▲・・・9:00~15:00まで
休診日/木曜午前・土曜午後・日曜日・祝日


スマートフォンサイトはQRコードを読み取ってアクセスしてください。