加齢と聴力

高齢者になると聞こえが悪くなるという事は、みなさん理屈では分かっていても、いざその段階になると、なかなか対応がスムーズにいかない事があるようです。

聞こえは、内耳の『蝸牛』(タフな人間の体・耳編参照)という場所で感じます。

「蝸牛」とは”カタツムリ”の事ですね。

極めて繊細なパーツである、蝸牛の中の有毛細胞と呼ばれるセンサーは,加齢等によって失われてしまうと、回復は難しいモノです。

 下が変性した、有毛細胞
ワイデックスのHPより抜粋

音を受け取る耳がマイクとすれば、それが何の音か判断をする、脳が分析器やパソコンに相当します。

感音性の難聴は『マイク』が悪くなるものと、『パソコン』が悪くなって起こるものがありますが、厄介なことに高齢者の難聴は、この「マイク」と「パソコン」両方が悪くなることによって起こるものが、多いのです

高齢者の方の聞こえないという訴えの特徴は、音は聞こえるのに何と言っているのかわからない、というものが多く、これが典型的な症状といえます。

蝸牛で周波数別に収集した音を、脳で分析して「ア」「カ」「サ」「タ」「ナ」と判断するわけですが、脳はこの収集、分析、判断を無意識に瞬時にやっていますが、加齢とともに蝸牛神経の働きが弱り、分析速度が遅く、弱くなり、会話の内容とスピードについてゆくことが出来なくなるのです。

…で、リハビリが必要になります。(下につづく…)

補聴器はリハビリ?

聴力低下がある程度以上だと判断されれば、補聴器をかけた方がいいかもしれない、ということになります。

前述のように、聴力は大まかですが「音を聞き取るはたらき」「内容(言葉)を聞き分けるはたらき」に分けられます。

それぞれの検査は、「純音聴力検査」「語音明瞭度検査」になります。

診察と検査、その後のご本人、ご家族の希望を合わせて、補聴器を付けるか付けないか、付けるならば、どちらの耳につけようか?片耳?両耳?につけようか?と判断を進めてゆくわけです。

これらの判断は、本人、ご家族との打ち合わせ、面談が重要になると思いますので、少し時間をかけて決定するのがいいと思います。

さて、皆さんに初めて補聴器をかけた印象を聞くと

チョット、やかましかごたる…

という方が割合多いです。

補聴器なしの、”静かな”状況から、急に音がたくさん入ってくる状況に、耳も脳も慣れていないから、と考えられます。
補聴器の音は、人工の音なので、それまでご自分の耳で直接聞いていた音、むかしの記憶の音とはずいぶん異なる印象でしょう。

昔はこんなに聞こえていたんですよー、と説明しながら、最初は小さめの音から、徐々に大きくして行きましょうと説明します。
補聴器をかける時間も、最初は短く、慣れるに従いゆっくり時間をかけて徐々に長くしていくといいと思います。
ご本人が補聴器をつけた方が良く聞こえるんだと、理解して納得いただくことが大事なのです。

補聴器は、必要な音も、雑音もみんな拾って、大きくしてしまいますので、その中から、自分の聴きたい音だけを選び出す”練習”に時間がかかるのです。
補聴器も、リハビリのように練習が必要です。

無理をせずに、気長に何か月もかけて、慣らしてゆく気持ちを持ってください。

眼鏡のように、作って何日かで慣れて、よく見えるようになるというのは、難しいようです。

補聴器の価格や耐用年数

補聴器には大きく3タイプが有ります。価格はあくまで目安です。

①箱型(ボックス型);安価で性能も問題ないのですが、特に女性の方は目立つし、ひもを引っ張るのがいやだとよく言われます。
福祉で認められていて、最初に勧められるのがこのタイプです。
価格は片耳用4万円位から、両耳用で9万円位。

②耳かけ型;片耳7万くらいから

③耳穴型;片耳10万くらいから数十万まで

性能は極論すれば、みな同じです。

小さいほうが高いのは、小さく目立たなくするのにお金がかかっているからです

価格は、本当にピンきりで、4万位から高いのは数十万まであります。
いずれのモノも、電気製品ですので、耐用年数はせいぜい数年といったところですので、あまり高いものは避けて、かかりつけの耳鼻科の先生に相談して、手ごろの価格で性能の良いモノを勧めてもらうのがいいでしょう。

耳鼻科からお勧めの店に紹介状(多くの場合は無料です)を書いてもらうと、困ったことやトラブルがあれば、その耳鼻科から、お店に直接、アドバイス(苦言?)を言ってくれることもあります。

お店とツルんでいるようなワルい耳鼻科はあまりいませんので(少なくとも当院(笑))安心して相談することをお勧めします。

眼鏡屋さんでも補聴器を扱うところが多いです。もちろん良い技師さんがいるところもあると思いますが、『餅は餅屋』でしょうか…と説明させてもらっています。

まずは近くの耳鼻科へご相談ください

補聴器購入に公費の補助は?

聴力検査の結果、障害者の認定等級に該当すると判断される場合、補聴器の購入に、公費が適応されることが有ります

具体的には、「箱型補聴器一個が購入できる費用程度」の補助が多いようです。

各自治体の予算によって金額や、内容が異なることが有ります。

詳細は、自治体の担当部署(福祉課)などにお尋ねください。

補聴器で難聴になりませんか?

答えは;なりません。

外来で患者さんからよく聞かれます。

「私は聞こえが悪いので、補聴器をつけて、これ以上悪くなりたくありません。」

「補聴器をつけていたので、どんどん聞こえが悪くなりました。」

「補聴器をつけると、ピーピー音がして、耳が悪くなりました。」

補聴器が原因で聞こえが悪くなることは、有りません。
医者はあまり断言しませんが、これは断言してもよさそうです。

補聴器が、ピーピーいうのは、ハウリングと呼ばれる現象ですが、補聴器の調整で必ず対応できますので、信頼のおけるお店で調整をしてもらって下さい。

補聴器⇒脳の活性化

マイルドな書き方をしてますが、「補聴器は、ボケ防止」の意味合いもあります。

難聴をほおっておくと、”うつ状態”になりやすくなる、という報告もあります。

会話や、ご本人の好きなまたは興味のある内容を積極的に聞くようにするのは、脳の活性化につながりますので、補聴器の活用法として期待できます。
TVも悪くありませんが、テレビの画面は、「流れて」ゆきますので、脳の活性化の作用は、『聞く』ほど強くないと考えられます。

もちろんご本人の協力と理解が必要ですので、嫌がるのに装用を強要するのはもちろん逆効果です。

補聴器買うのは、メガネ屋さん?補聴器屋さん?

補聴器の相談に来られた患者さんから、よく聞かれる質問です。

これはちょっと断定は難しいのですが、前述のように『餅は餅屋』であろう、というのが、院長の基本的な立場です。

補聴器は、補聴器屋さんで買いませんか?ということです。
おそらくほとんどの耳鼻科さんはこの立場ではないでしょうか?

ただし、現実的な数字を言えば、大牟田では補聴器の専門店は2軒ですが、眼鏡店は20数軒あります。
少なく見積もって、メガネ屋さんの半分が補聴器を扱うとしても、患者さんは選択に迷うかもしれませんね。

そもそも、メガネ屋さんで補聴器を扱うのは、来店年齢の重なる(老眼鏡を買う)お客さんに(よければ)買ってもらおうという発想から始まったと考えられます。
勿論、とても補聴器に力を入れていて、「認定補聴器技能者」と呼ばれる特別な資格を取った専任の人が常駐しているお店、頻回のメンテや細かい対応を苦にしない、良心的なお店は安心して補聴器の製作を任せられると思います。

当院では◎問診◎耳垢の有無、◎中耳炎の有無、◎外耳道の状態、◎聴力検査、◎言葉の聞き取り、◎装用至適耳、これらをチェックしたうえでの◎装用の可否を判断して、◎専門店に紹介、することになります。

…おまけ…ではない、補足かな?

補聴器は、お店も商売でしょうが、患者さんにとって、必要以上に高額の機器は不要でしょう。
その意味で補聴器店にも意見の言える立場を保つことが、耳鼻科にとって重要だと言えます。

…ですので、当院では紹介状でお金がかかることはありません。補聴器屋さんから、リベートを受け取ることも有りません。
(あらためて言うと、なんだか言い訳みたいですね(笑))

耳鼻科があくまで中立の立場として、患者様によりよい補聴器を購入していただくためという姿勢の現れとご理解ください。

もちろん紹介状は馴染みや行きつけの眼鏡屋さんがあれば、そこに提出いただいても結構ですよ。

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