秋の味覚:カヤ(榧)の実
院長の時々日記
先日(10/27)は椎の実の話でしたが、またえらく懐かしく、珍しいものを見つけました。
”或るところ”を歩いていたら、あれ?榧の木だよね?
見上げるくらいの、立派な榧(カヤ)の木でした。
季節は秋、記憶がよみがえって、もしかして!と下を見たら、なんとカヤの実が落ちているではありませんか!!
年令が知れますが、興味ない人はスルーしてくださいね(笑)
カヤの実、美味しいんですよ。
皮をむくと二番目の写真のような感じです。
不揃いさが、拾った感満点ですね。
針葉樹なので、マツヤニの匂いというか、酒飲みの人は、ジンのような匂いというでしょうか。
文字通り、鼻腔をくすぐる匂いです。
たくさん取れたときは、水で腐らせるのですが、少ないから手で剥きました。
指先がヤニでべたべたになります。でもいい匂いです。
時計回りに、椎の実にギンナンに、カヤの実。
ここはどこ?山奥?ではなく、一応人口10万以上の福岡の地方都市、大牟田です。
ギンナン煎りで、カラカラと炒ります。
油脂分が多いので、すぐ真っ黒になります。
院長も一回目はダメにしました、もったいない…。
味は、とにかくたべてみて、というものですが、独特の風味です。
ピスタチオの食感に、微かな松脂の匂いがまとわりつくようなと表現できるでしょうか。
あく抜きを勧める人もいますが、折角の風味です、多数の方はそのままがよろしく、大丈夫ではないでしょうか?
次男の評価は、”初めてだから、詳しいコメントはできないけれど、これは(日本人が)忘れてはいけない味だと思う。”…ほとんど、文学でした。
…おまけ
榧は緻密な木質から、珍重され、碁盤での使用が有名です。樹脂分が多いので虫いぶしに使い、蚊取りの利用(蚊遣り焚き)が榧(カヤ)の語源ではないかとも言われます。
成長が遅い木で”利用可能”になるには300年かかると言われます。
消費に間に合わず(人間の勝手ですが)成木が完全に不足しています。
院長はずいぶん昔、「日本で碁盤に利用可能な最後の榧の木が切り倒された」という新聞記事を読みました。
天然記念物などで保護された木以外は、利用可能なサイズは総て伐採され尽くしてしまったのです。
なぜそうまでして、大事な木を切り倒すのだろうと、子供心に人間の”業(ごう)の深さ”を感じた記憶が有ります。
たらふく食べれる味覚ではないですが、何粒かでも口に入ると、匂いが脳みそをくすぐり、うれし懐かし、でした。
来年も食べれるのかな?