華海苔(はなのり)
院長の時々日記
『最初』である”しょっぱな”、”ではな”、で「ハナノリ」です。
お茶で言えば”新茶”でしょうか。
市場に出回る量が少なく、地元で消費されることがほとんどの希少な海苔です。
何よりの、季節の恵みですね。
ところで、現在我々がおいしい養殖ノリを食べることが出来るのは、一人の女性のおかげです。
キャサリン・メアリー・ドリュー・ベーカー女史、英国人女性です。
海苔と、イギリス人は結びつきにくいのですが、日本ではどうしても明らかに出来なかった、海苔の特殊な生態を解明した人です。
海苔の糸状体(コンコセリス)と呼ばれる発育段階が貝殻の中で育つことを発見し、昭和24年、科学雑誌ネイチャーに発表しました。
「藻類学」という”地味”な分野でネイチャーがアクセプトしたことでも、当時いかにインパクトの強い報告であったかが分かります。
この成果は、すぐに親交のあった九州大学の瀬川教授に伝えられ、謎であった海苔の生活史を解き明かして、これまで、行き当たりばったり、自然任せであった養殖事業を、人の手で行える大きなきっかけになったのです。
熊本県宇土市の住吉神社に、女史の顕彰碑があります。
毎年4月14日は、『ドリュー祭』と称して日英の旗を揚げて顕彰しているそうです。