中性子連星衝突
院長の時々日記
欧米のレーザー干渉計が中性子連星の合体による重力波を検知したというニュースが入りました。
日本のKAGRAは間に合いませんでしたけれど、すばる望遠鏡は頑張ったようです。
これまでの4回の重力波検出はすべてブラックホール連星の合体だったそうですが、ついに中性子連星合体の重力波を検出したわけです。
これの何がすごいかというと、中性子連星衝突による重力波検出に伴い、鉄よりも重い元素が作られた、形跡をとらえることが出来た、ということではないでしょうか?
ブラックホールはそもそも可視光でとらえることが出来ないので、衝突の様子は重力波でしか観察できません。
中性子連星は、これまで複数確認されていますが、いずれも衝突は数億年先の話です。
ブラックホールに比べて中性子星の大きさには上限があり、あまり遠くでの衝突はとらえられにくいのではないかと思われますが、今回は1億3000万光年ほどの距離だったのも幸いしたようで、重力波以外の、X線含む多数の電磁波の形式での観測が成功しています。
この中性子連星の衝突シミュレーションで世界をリードしているのが京都大学です。
京都大学のシミュレーションでの一番外側の緑の部分。
ここで、金、銀、プラチナなどの貴金属を含む、鉄よりも重たい元素が大量に生成され、宇宙に飛び散っている確証が得られたのです。
太陽が形成される数十億年前、中性子連星の衝突によってばらまかれた元素が宇宙空間を漂いながら、超新星爆発によって飛び散った星のかけらと一緒になって、長い年月をかけて太陽系を形成して、奇跡とよべる天の采配によって、地球は生命を宿しました。
文字通り我々は星の子、地球を作るのは、星屑そのもの。