とびひ(伝染性膿痂疹)
からだの雑学・あれこれ耳より情報
夏は『とびひ』のシーズンでもあります。
正確には、『伝染性膿痂疹』といいますね。
原因となる主な菌は、「黄色ブドウ球菌」や「連鎖球菌」と呼ばれる細菌です。
ホントにブドウみたいなので「ブドウ球菌」と言います。
ホントに鎖が連なってるみたいなので「連鎖球菌」と言います
特に黄色ブドウ球菌は、毒性が強く、耐性菌も多いので皮膚症状がひどくなりやすいです。
『とびひ』は皮膚科の病気でしょ?と思われますが、耳鼻科の領域は『とびひ』の好発部でもあります。
具体的には、鼻や目の周囲、耳の周りなど、皮膚が薄いところ、よく手が行って、ついつい触りすぎるところです。
特に鼻腔(鼻の穴)はブドウ球菌が潜みやすい場所ですので、ここを中心にして全身に”飛び火”することがあります。
よく見られる症状は、蚊に刺されたあとを掻きすぎて、皮膚が荒れたところに、水泡やかさぶたが出来て、ジュクジュクしたようになる。
これが、足や手、身体のあちこちにできる…というものです。
治療は基本的には対症療法です。
皮疹部の外用療法(軟膏など)、内服療法です。
菌の種類によって、薬を変更します。
首から上の『とびひ』は耳鼻科へ!と宣伝しておきます。
…おまけ
黄色ブドウ球菌は、食中毒の菌としても有名です。
症状は、下痢や嘔吐などの「激しい胃腸症状」と表現されます。
食中毒の中ではもっとも、短時間に発症します。食後1時間から6時間以内にほとんどが発症します。
(逆にこれより短くて発症するもの、これを超えて発症するものは、ブドウ球菌が原因ではない可能性が高いです。)
理由は菌外毒素と言われる、菌が産生した毒素が食物に含まれていて、これが中毒の原因になるからです。
厄介なことに、加熱ではこの毒素が消えません。
火を通せば食中毒は大丈夫という理屈が通用しません。
おまけに人の皮膚の上にたくさんいる菌であり、繁殖力が強く、毒素も強いという結構危ない菌といえます。