立石医院の蒸気吸入器(※は2016年2月補記)|大牟田市の耳鼻咽喉科立石医院

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耳より情報

立石医院の蒸気吸入器(※は2016年2月補記)

耳より情報蒸気吸入器

耳鼻科で、吸入治療をした、という記憶はみなさんありますか?
吸入治療は、蒸気の種類で、大まかに二種類に分けられます。

①熱で発生させた、大粒の粒子の蒸気(蒸気吸入)
②超音波で発生させた、小粒な粒子(超音波吸入)

いずれかの方法で薬液を粒状化して、治療に用いるのです。

①は、薬液はのどの周囲にとどまり、比較的手前付近で効果を発揮します。
②は、気管、気管支などの奥まで到達して、ぜんそくや、のどの奥からくる咳、痰を改善します。

風邪の初期によくみられる、「のどが痛いんです!」には①、子供さんが、ゼコゼコ、ゼロゼロ咳してます、などは②が多く用いられます。

耳鼻科は、比較的急性の病気の「のどが痛いんです」「声がかれました」という訴えが多いでしょうか。

写真は当院の蒸気吸入器の吐出部付近です。

大粒の薬液の粒子を蒸気で患部(のど)に吹き付ける器械です。

見る人が見れば、ああ、○○社の何々という型番だとまですぐわかるでしょう。
現在、このメーカーさんは製作はおろか、修理も受け付けることが出来ませんので、文字通り虎の子の器械です。

蒸気吸入器は、吸入用の薬液(塩分を含みます)を使用しますので、水垢の付着と、腐食が避けられません。
このため、定期的なオーバーホールが必要で、器械自体が消耗品と言えます。

耳鼻咽喉科開業医の問題は現在、このような蒸気吸入器が入手不可能なことです。

○蒸気発生に熱を使う→危ない→(作製したくない)とされる事も業者が作らない一因かも、とは勝手に思っています。

更には、○治療点数がないがしろにされている(無いに等しい)→(吸入治療を)する病院も少ない→器械が売れない(儲からない)→作らない。

という複数の誘因の構図でしょうか…。

当院には、予備の器械があり、当面の運用は問題ないのですが、長期として不安があるため、自前で蒸気発生器全体をシステムとして作成しました。

メーカーサイドから、経験のない改造だ!との意見もでましたが、後述しますが、あとの方ではむしろ興味津々でした。
既存のパーツ類を利用して良好なシステムが仕上がったと自負しています。
もちろん、最大限、最優先に気を使ったのは当然安全性ですね。

日本電熱さんに協力してもらい、試運転を行いシステムの細部を詰めました。

本来、工業用の大きなジェネレーターを作ってるメーカーらしい…

ジェネレーター本体は、元々室内使用を想定された、静粛性、安全性の高い機種です。
蒸気の取り出しに際して、○圧調節バルブ、○安全弁、○蒸気圧ゲージを付加し、安全性に留意しています。
実際はこれに、本体の安全装置、吸入器自体の安全装置が加わり、三重四重の安全対策は、まさに至れり尽くせり?

最初は発熱の多さを心配して屋外の設置を考えたのですが、凍結の心配で渋々屋内へ、しかし盛夏期も思ったほどでなく、一安心。
むしろ、バブリングというか、湯が沸く時に気泡が発生することがあり、”ジーッ”と言う音が気になることが有る(※後にこれは給水ポンプの音と判明)くらいです。対処法もわかりました。

結果…

ⅰ)素晴らしく均一で上質の蒸気が手に入る
ⅱ)蒸気噴出までの待機時間がほぼゼロ
ⅲ)水の補給が必要ない

というのは、これまでの経過がある当院としては非常にありがたいばかりの長所なのですが、

短所は○価格、ジェネレーター本体で数十万 〇水垢防止に軟水器(フィルター)が必要 〇多少の工事が必要 などでしょうか。

本体価格を安いと考えるか、否かは個人差があるでしょうが、耐久性は、ランニングコストとなり、今後当然気がかりなところです。丸二年たった現在、ノートラブルですので、ひとまずご報告します。
軟水化のためのフィルターの増設は、手間がひとつ増えますが、吸入器本体の耐用期間の延長につながると考えられます。
(※のちにフィルターがいかに必須であるかを、院長は思い知ります。)
今後の耐久性、フィルターの交換頻度、トラブルなどの状況は随時報告します。

…おまけ

不思議なことに、患者さんの間でも、とっても吸入が好き、という人とそうでない人に分かれます。

台風の日もなんでそうしてまで?とご来院いただく患者様と、正直あまり好きでないという方がいます。
吸入が苦手な方は治療をお勧めした際に、どうぞお申し出くださいね。

そうそう、診察して、薬貰って、吸入までしたら、二重三重にお金がかかりますから結構ですと言われることが有りますが、不思議なことに診察だけの方が、治療費が高いことがあります、知ってました?

逆じゃありません。いろいろな治療までした方が安いことがあるのです。

治療までした方が安いなんてあるもんか!と心から言いたくなりますが、事実です。

これには、深い悲しい歴史?があるのですが、その辺の話はまた後程…。

 

⇒『プロトの吸入器』2016年

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