ヘッドフォン難聴
耳より情報
難聴というとお年寄りを想像しがちですが、若年者も注意が必要です。
難聴には、伝音性難聴と、感音性難聴があります。
どちらも聞こえが悪くなる病気ですが、より厄介なのは、感音性難聴かもしれません。
耳寄り情報にあるように、耳は、”強くて弱い場所”です。
短時間ならば、ある程度の大きな音には耐えられても、持続する大きな音や、瞬間的でも許容を超える大音響には耐えられません。
聴こえの神経の損傷をきたします。
さらに厄介なのは、このようにして受けた損傷は多くの場合回復が難しいということです。
聴こえの神経が音で怪我をしたようになるので、「音響外傷」と呼ぶこともあります。
チェーンソー、削岩機、板金作業などに加え、鉄砲、体育のスターター(号砲)などを頻繁に使用する人は注意が必要です。
現在問題が多いとされるのは、ヘッドフォン難聴と呼ばれるものです。
ヘッドフォンでシャカシャカと周囲に音漏れのするような大音量で、長時間聴き続けると、難聴を起こすのです。
注意が必要な理由は、本人が心地よい(うるさくない)と感じる程度の音量でも回復不能の難聴が生じ得るということです。
メディアで、耳に異常を感じたら、耳鼻科を受診しましょうとよく放送されています。
厄介なのは、騒音による難聴は、自覚が難しく、症状に乏しく、検査で初めて指摘されることが多く、しかも見つかったときには相当の進行とともに、回復が難しい場合が多いと困った病気なのです。
…で、どれくらいの音が目安なのだといわれると、これが難しい。
数字で表せば簡単!”85dB”以下で聞いてください。…です!!
地下鉄の車内の音、加速するバスの中、隣の人と話すには大きな声が必要になるくらいのうるささ、が”80dB”です。
言葉の表現では『”うるさい”と感じる音での視聴はやめましょう』ですが、物事はそう簡単ではありません。
ヒトは、”感性の動物”ですので、音に関する感覚は個人とその状況で様々です。
自分の子供の泣き声はうるさくなくとも、他人の赤ちゃんの泣き声は我慢できない、というようなことがしばしば生じます。
患者さんの多くは、大きな音を聞いたという自覚が少なく、知らずに難聴を悪化させている症例が数多くあるのです。
思い当たる方は一度詳しい聴力検査を受けてみましょう。