扁桃腺・ノドが痛いと耳まで痛い…
からだの雑学・あれこれ耳より情報
耳鼻科の日常診療で結構多い訴えです。
ノドが痛いと、耳まで痛くなることが、結構有ります。
”じっとしてても痛い””飲み込むと響く”時々ズキッと響く”などなど
痛み方はさまざま、痛みを起こす病気の種類はたくさんあります。
ノドが痛いと痛みが耳にまで響く病気の代表は”扁桃腺付近の炎症”ですが、詳しくは下に書きます。
耳に全く異常がなくて、痛みだけ!ということも、結構あります。
主に首から上を担当する、
脳神経は12本有ります。
頭(脳)から、神経が、下に降りてきますが、図のように、脳神経の10番目(Ⅹ)迷走神経;の神経の一部が、耳にきています。
耳の痛みの神経は基本は三叉神経(第Ⅴ脳神経)ですが、そのほかに、第Ⅹ脳神経(”Ⅹ”はローマ数字の”10”で、いわゆる”10番目の脳神経”;「迷走神経」のことです)が一部、また耳たぶの後部には”頚”からの神経も”枝”を出しています。
耳にきている神経は、ノドの他の神経と、ループ、またはワナ、と呼ばれる、ネットワークを作って、いろんな場所とつながりあいます。
知覚として頸の神経、三叉神経、迷走神経、舌咽神経、他に聴神経、顔面神経…さまざまな神経が耳の周囲に走っています。
この結果ノドの痛みが、耳に響く事に限らず、身体のいろんなところが、調子悪くなることがあるわけです。
ご興味あれば、ご覧ください ⇒ヒトの脳神経は12対
耳に体のツボが、集まっていて、ダイエットに良いとか、ダイエットのツボの隣は、食欲増進(肥満)のツボがある等々…色々な都市伝説が生まれる理由の一つです。
耳に枝を出しているこの迷走神経(Ⅹ)は咽、喉頭、気管、肺、心臓、消化器と耳以外にもたくさんの臓器を”担当”してます。
この耳への刺激が、全身に影響を及ぼすことは、東洋医学だけでなく西洋医学、解剖学的な観点からも容易に説明がつきます。
ただ、痛み以外の詳しい話は院長にもややこしい事なので、詳細は別の機会にしたいと思います。
緊急な痛みの際の鎮痛剤の服用方法等はこちらをご覧ください。⇒痛み止めの話
…ところで
風邪は、内科ですか?耳鼻科?ですか?という質問は本当によくされます。
ノドも耳も痛いけど、中耳炎は起こしてないか?外耳に痛みの原因はないのか?咽は?扁桃腺(口蓋扁桃)は腫れてないのか?
風邪からきているのか?どうか?というときに、首から上が、詳しくチェックできる、耳鼻咽喉科に相談するのはいい方法かもしれません。
大まかですが、咳やおなかの症状など首から下の症状が主な時は内科、首から上の症状は耳鼻科という考えは、良いかもしれません。
扁桃腺(口蓋扁桃)の外側付近には、ノドの神経がたくさん走っています。
喉が痛いはずなのに、飲み込むと、耳まで痛みが響いた、という経験はありませんか?
「ノドから耳に響く痛みの代表の病気」は、この「扁桃腺(口蓋扁桃)付近の炎症」です。
扁桃腺は、『被膜』と言われる、”殻”のような組織に、囲まれていますが、この外側に、迷走神経や舌咽神経等咽の神経が来ています。
喉の炎症が、外側に広がるとこれらの神経が刺激されて「喉の炎症のハズなのに耳が痛い!」ということが起こります。
おおざっぱに、外耳炎、中耳炎は、ズキンズキンと持続する痛み、ズーッとイタイ…が多いのです.
「耳へ響く痛み」は、もちろんノドも痛いのですが、飲み込んだ時に、特にズキッと痛みが増強され耳にも響くというような、大まかですが特徴があります。
当然周囲に更に炎症が広がって、ひどくなると、痛みは連続性になり”悪化”します。
周囲に広がった炎症による痛みは、時に強烈で、食事はおろか、水や、つばも飲み込めなくなることが有ります。
そーなると、扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍(詳細は⇒コチラ)の併発も心配されます。
⇒『耳が痛くなる話』は他にもありますので、よろしければご覧ください。
このほか迷走神経由来の下喉頭神経の痛み、上喉頭神経の痛みなど、ノドの神経は複雑であり、稀な痛みの疾患も有ります。
痛みだけでは症状の判断は出来ないことも多いです。
痛みだけで判断せずに、詳細は耳鼻科など、専門医に相談しましょう。